対峙した瞬間に、何となくは感じていた。
表情は確かに柔らかかった。
再会した時と、大差ないほどに。


しかし、空気が変わっていた。


雰囲気、と言うよりそのほうが正しい表現だと思う。
纏うものもそうだが、周りの空気までをも変えていたのだ。

確かに昔から、彼の統率者の血はそれを可能にしてきた。
だが、やはりそれは今までの比ではなかったのだ。


「どうしたんだスザク、ぼうっとして」

いきなり、声に思考が遮られる。

「...っ!」


思わず息をのんだ。
近くにいることはわかっていたはずなのに
それ程までに考え込んでいたのかと、一人自嘲する。


「スザク?」


あぁ昔と同じように名を呼ぶ君に、憐れむような顔をしそうになってしまう。
妹を助けるためだからと言って、こんな自分なんかのご機嫌を取らなくちゃいけないなんて。

・・・・・・・・
久しぶりに会ったという俺たちに、会長は気をきかせて二人きりにしてくれた。
その時に、シャーリーが不服そうな顔をしていたのを覚えている。
彼女は心からは変わってなのだと、証明しているようで嬉しかった。


じゃあ、ここにいる彼はどうなのだろう。


「何でもないよ、ルルーシュ。それで、何だっけ?」

話を元に戻そうと、できるだけ自然に話しかける。
ルルーシュは一回浅くため息をついてから、俺の目を見て言う。
自然と、二つの綺麗な紫紺の瞳を見つめていた。


「生徒会のほうに顔出しに行かないとならない。その間お前はどうしてるか?って聞いたんだよ」
「そうだな、折角だから一緒についていこうかな。足手まといじゃない?」
「もちろん、むしろ百人力だよ」

そう言って笑うルルーシュに、どうしても錯覚しそうになる。

『この』ルルーシュは記憶を取り戻している。
頭では、そう理解しているのだ。
ただ心が、それを受け入れるのを拒否している。


『お前が気付かなければ、この幸せは続くんだぞ』
もう一人の自分が、頭の中で謳うように囁く。


偽りの幸せ。
ルルーシュと、昔と同じように過ごせる箱庭。
これを作るのも壊すのも、俺の意志一つでできる。


今の俺にはそれだけの権威がある。


内側からこの国を変える。
この意志は、絶対に変わらない。
これは、言わば自分の存在理由でもあるからだ。
そのためならば、他人を蹴落とすことだって。

...友を売ることだって、できる。




でも、それでも。

どうか今だけは、一時の安らぎを。




<END>



・後反・

はい!完全に模造です。
で、ルルスザってより ルル←スザクの独り語りですね。
スザクが一瞬、真っ白(もどき)なルルにたじろげばいいのにな、という話です。
昔を懐かしんで、箱庭を受け入れるスザクが書きたかったんです。
本当のスザクはもっと強い子ですから、こんなことにはならないでしょうけどね。

こんな模造ができるのも、二次のいいところです(笑


2008.05.02 
2008.05.02 作成
 
 

















 
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送