...シュ
「ルルーシュってば!」
どん、と言葉の語尾を強めるのと同時に置いた両手の音と、机の振動でやっと気がついた。
「もう、ひどいよルルーシュ。何回も呼んでるのに」
「あぁ、すまない。少し考えごとをしていた」
まったく、と小さく呟きながらも、スザクのその顔は楽しそうであった。
「それで、どうかしたのか?」
「あ、うん。今度久しぶりに休暇をもらえて、もしよかったらまた君の家に行きたいなって」
「休暇、かなり久しぶりだろう?ゆっくり休んだりしたりしたほうがいいんじゃないか?」
ナナリーも喜ぶし、なにより自分が嬉しいからそれは全く構わないのだ。
だが、自分が覚えている限りかなり久しぶりな休みであった気がする。
「休養はちゃんととってるから大丈夫だよ。やりたいことも特にないし...」
それにさ、と言うと少し話を切り。
「折角の休みだからこそ、ルルーシュと一緒にいたいじゃない?」
小さい頃よく見た、屈託のない笑顔でそう続けた。
あぁ、だからこいつは...
「...いつなんだ?」
「え?」
「休暇。来るんだろ?家に」
携帯を開き予定を確認する。
「明後日だよ」
「意外と急なんだな」
「あ、もしかして...」
予定あった?と繋げようとしたスザクを片手で制して。
「ありがとうスザク。ナナリーもきっと喜ぶ」
人受けのいい、笑みを浮かべた。
「ううん、僕こそありがとう」
ピーッ
スザクの声のあとに、時計が時刻を知らせた。
「あ、それじゃあ行くね」
「あぁ」
手を振りながら出ていくスザクに、小さく手を振り返す。
『もう、ひどいよルルーシュ。何回も呼んでるのに』
『あぁ、すまない。少し考えごとをしていた』
さっきの会話が蘇る。
「考えていたのはお前のことだよ」
落とした視線の先には、窓の外のスザクがいた。
ルルーシュとしての自分。
ゼロとしての自分。
両立出来るなんて、最初から考えていなかった。
だから、『ルルーシュ』を切り捨てるつもりでいた。
だが。
「スザク...っ」
お前のことを切り捨てるなど、できるはずがない。
<END>
2008.04.26 修正
2007.04.13 作成
・後書きという名の反省文・
ランスロット=スザクとまだ知らない頃。
どちらかというと、ルルの片思いに近いルルスザです。
ほら、スザクさんは、素でああいうこと、おっしゃるじゃ、ないですか。
ルルのことを、そういう意味で好きなスザクって想像し難いんですよね、私。
てか、ルルスザというより、ルル→スザが好きなのかも?
まだギアスははっきり分からないですね。
ギアスは、切な系、シリアス系、悲哀系が書きたくなる。
というか書きやすい、かな。
+ + +
今はルルスザでも、ルル→スザでもルル←スザでもおいしくいただけます(笑
今は、ものすごく甘いのか暗いのが書きたくなりますね。
本編見ているとそんな感じになります。