「...とは言ったものの」
やはり、ずっと思っていた願いは消えず。
一騎が嫌だというなら無理強いはしたくないが、
それでもまだ期待することは止められなかった。
あの細い肩を抱きしめ、一騎の全てを目の前に曝したい。
自分を受け入れてもらいたい、と。
「...はぁ」
大きく溜息をつきソファーに身体を預けると、
目の前にある部屋の棚が少し汚れていることに気がついた。
そういえば、最近忙しくてちゃんと掃除していなかったな。
...気を紛らわすのにもちょうどいい。
総士は腕まくりをし、気合を入れた。
+ + +
「...ん?」
部屋もあらかた綺麗になった頃。
どこからともなく、身に覚えのないものが出てきた。
「これは...というか、何故これが」
此処にあるのか、と続けそうになったがふとその原因にたどり着いた。
「...剣司か」
そういえば前に部屋に上がらせた際に、
親指を立てながら何かを言い残して言ったような気がする。
『この部屋に“プレゼント”を隠した。これでいつ必要になっても大丈夫だぜ』
その必要なものは隠して意味があるのか。
と違うツッコミを考えていた自分は、
それが何なのかというところまで考えてはいなかった。
「...こういうこと、か」
タイミングの悪い友人からのプレゼント発掘に、
ごみ箱に投げてしまおうかと一瞬考えた。
だが、投げようと構えた手をすぐに引っ込め。
これも何かの縁かもしれない、とひっそりと枕の下に忍ばせた。
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2006.XX.?? 作成
2007.05.08 掲載
「可愛いあの子を抱くまでの6ステップ//
3.部屋を片付け 枕の下に仕込みましょう」