「...一騎か」
安堵の溜息を小さくつき、後ろ手でドアを閉めた。
「それより...どうしたんだそんなに濡れて!」
「あぁちょっと雨に降られちゃって。総士の部屋の方が近かったから、
もしよかったら、シャワーを、借りようと思ってきたんだ、けど...」
話しながらどんどん下がっていく視線と声の大きさに、小さく首を傾げる。
心なしか顔が赤い気もする。
「どうしたんだ?」
「あ、いや...なんでも、ないよ」
「そうか?」
もしかしたら、身体が冷えて風邪でもひいたのかもしれない。
ならば、濡れた身体をそのままにしておくのは得策ではない。
それより、と背中を押し。
「着替えは出しといてやるから、ゆっくり浸かってこい」
そう言ってやると、一騎はあぁ、と小さく返事を返した。
バスルームに入ったのを確認すると、総士はもう一度息を吐いた。
「しかし、まさかこのタイミングで一騎が来るなんて...」
冷静だったのなど、表面上に過ぎない。
予期せぬ事態に流石の総士もうろたえて。
とりあえず落ち着こう、とベットに腰掛けるとさっきの枕が目に入った。
「まさか...な」
“カミサマ”はきっとそこまで自分に優しくはしてくれないだろう。
<NEXT>
2007.XX.?? 作成
2007.05.09 掲載
「可愛いあの子を抱くまでの6ステップ//
5.相手より少しだけ余裕を保ちましょう」