「総士お風呂ごちそうさま」
「あぁ、ちゃんと温まったか?」
もー子供扱いするなよな、と一騎は不満げに頬を膨らます。
そんな一騎に手招きをすると、思いのほか大人しくこちらにやってきた。
膝の間に座らせ頭を拭いてやると、気持ち良さそうに目を細める。
そんな一騎に総士は微笑を浮かべた。
ある程度拭き終わると、タオルを床に置き一騎を後ろから抱きしめた。
「...なっ!総士!!」
慌てる一騎を尻目に、
風呂上がりの温かい身体を楽しむかのように身体をさらに引き寄せた。
「一騎...」
耳元でそう囁くと、一騎はびくりと跳ねた。
そして自然と身体が強張っているのを感じる。
無理強いはしない。
そう、決めたから。
だからこれ以上のことはしない、
と言外にそう込めて頭に口付けを落とした。
「..と...は」
「?」
総士にされるままになっていた一騎が、口を開いた。
だが小さくて上手く聞き取れない。
「一騎?」
優しく名前を呼ぶと、少し大きな声で話してくれた。
「本当は雨に濡れたっていうのは口実で、
いやでも濡れたのはわざとじゃなくて偶然で...あぁ違う、だからそうじゃなくて」
「落ち着け、一騎。ちゃんと聞いているから」
落ち着かせようと声をかけ、目を合わせると小さく溜息をついた。
「総士に、抱きたいって言われて」
自然と、心臓の音が大きくなる。
「...あぁ」
「すごいびっくりしたけど、でも嬉しくて」
「あぁ」
「だから...その」
...いいよ
小さく。
小さく呟かれたその言葉は、しっかりと耳に届いた。
「一騎...」
心臓がはちきれそうだ。
「えと、よろしくお願いします...?」
疑問系で聞かれたその言葉に、あぁこちらこそ、
と微笑みながら返した半分は、互いの口唇に消えていった。
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2007.XX.?? 作成
2007.05.11 掲載
「可愛いあの子を抱くまでの6ステップ//
6.相手の名前を耳元で囁きましょう」