「あのシン、て子。根はいい子だね」
夕飯時、一緒に食卓を囲んでいたキラは微笑みながらそう言った。
「素直じゃないのは、まぁあの子の性格なんだろうけど。
ちゃんと話は聞いてくれるし、話もしてくれるし」
覚えも早いし、教えるこっちも楽しいよ。
とパンを一口かじるとそう付け足した。
キラは今、シンにいろいろなことを教えていた。
特に、機械系。それもプログラム系を。
シンも疎いほうではないが、キラに敵うほどでもなかった。
申し出たのはシンのほうからで、キラも進んで話を受けた。
今までは兄妹もいないに等しかったし、
幼なじみの自分は、どちらかというとキラの兄の立場にいた。
...当の本人は自分が兄だとずっと言い張っていたが。
きっと弟が出来たみたいで嬉しいのだ、と思う。
自分に本当の兄弟というものはいないので推測でしかないが。
...だから、といって。
「キラ、さっきからシンの話ばっかり」
「そんなことないよ」
「なくない」
俺から言わせてもらうと、面白くないわけで。
たいそう、面白くないわけで。
「もう...」
しょうがないなぁ、とため息をつきながらもふと幸せそう笑顔を零したキラを見て。
やっと安心した。
でも、出来れば。
アイツなんかに近付くな
...なんて。
別にシンが嫌いなわけではないけれど。
唯の独占欲と固持欲。
<END>
2007.01.20 作成
2007.04.18 掲載
好き過ぎる7のお題//アイツなんかに近付くな