じりじりと、太陽の光が肌を焦がす。 それさえうっとおしく、木の陰に身を寄せた。 張り詰めた気を少しだけ緩めて、背を幹に預ける。 たまに吹く風に、ざわめく木の葉。 果てしなく広がる蒼穹。 大きな入道雲。 向日葵が咲き乱れ。 蝉が、灯を削って鳴き続ける。 何も変わっていない。 何も、変わっていないのに。 見えなくなった右の目にもずいぶんと慣れ、片目でも距離感がつかめるようになった。 でもそれでも。 「まだ、お前よりは上手くないよな」 上げても、届かない声。 のばしても、届かない手。 悔しくて噛み締めた口唇は、塩辛かった。 <END> 2007.04.10 作成 2007.04.24 掲載 夏色課題//しおからい口吻
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