いつものようにカオスゲートで待ち合わせ、
いつものようにフィールドに向かうことになった。
「なぁエンデュランス?」
その前に、買い物がしたいというハセヲについて行く。
「なんだい、ハセヲ」
話し掛けられるだけで正直、頬が緩む。
「今日は何処行く?」
「ハセヲは...どんなところに行きたい?」
前に、同じように何処に行きたいかと問われた時。
ハセヲが行きたい場所が僕の場所だ、と伝えたことがある。
それじゃ意味がない!と怒鳴られ。
お前の好きな場所が知りたいんだ、と恥ずかしそうに続けられた。
それでもなかなかこの癖は抜けなくて。
今も正しくそれが出てしまっている。
...ハセヲが怪訝そうな表情をしているのが、何よりの証だ。
でも珍しく、今日はそのまま答えを返してくれた。
「...快晴の、荒野のフィールド」
外を見ると、今日は生憎の雨であった。
ハセヲの住む東京も、ニュースによると雨だったはずだ。
柄にもなく、天気を気にしてみた。
雨の日には、確かにそこは気分がいいだろう。
「じゃあ僕も、そこに行きたい」
荒野フィールドの空は、どのフィールドよりも綺麗だと思うよ。
僕がそう言うと一瞬、たった一瞬。
ハセヲは嬉しそうに微笑んだ。
瞬間。
風が吹いた。
他の人が感じることなど出来ないが、確かに吹いた。
「じゃあ、行くか?」
「...うん」
少し反応が遅れた。
ハセヲの笑顔に、見惚れた。
君となら何処にだって行けるよ。
天国だろうが楽園だろうが。
君さえいてくれれば、それだけで地獄だって変わってしまう。
だからハセヲ、何処までも何処までも。
<END>
2007.05.05 作成
2007.05.05 掲載
「夏色課題//風をきって、どこまでも」