蝉が高らかと鳴き響かせている中。 お前と俺は、初めて出会った。 互いに異業のものを見るような目をし、明らかな嫌悪を抱いたことを覚えている。 それでも、この地しかもう自分たちにはないのだと自分に言い聞かせ。 「ルルーシュ、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアです」 こっちはナナリー、ナナリー・ヴィ・ブリタニア。 少し震えながらも平静を装えた、と思う。 「俺...僕はスザク、枢木スザクです」 少し強張った笑顔で差し出した手を、しっかりと握り返す。 それに少し驚いたスザクは、その笑みを和らげた。 蝉時雨。 音は時として、遠い記憶の海から無差別に搾取する。 「あの頃のほうが、まだよかったのかもな...スザク」 君はこの音で、何を思い出すだろうか。 <END> 2007.02.20 作成 2007.03.10 掲載 夏色課題//蝉時雨
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