志乃がオーヴァンのことを話す時にする、 どこか諦めたような哀しそうな表情が俺の心を掴んで離さない。 ...きっと志乃はオーヴァンが好きで。 今も、忘れられないんだと思う。 それでも今は俺が側にいるのだと、言い聞かせてやるようにきつく抱きしめると、 少し困ったような、それでも安心したような笑みを浮かべて。 大人しく腕の中に収まってくれた。 それでもやっぱり、不安は消えなくて。 自分のふがいなさに、少し苛立ちを覚えた。 この胸がちりちりと焦けるのは、きっとこの夏の太陽のせいなんかじゃない。 <END> 2007.02.26 作成 2007.04.27 掲載 「夏色課題//ちりちりと焦(や)けるのは」
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