「暑い...暑すぎるっ!」
季節は真夏。
場所は地球。
そして、外。
管理された気候になれていたため、自然の夏にはなかなか慣れない。
「...キラぁ」
何度目かになる訴えに、何度目かになる窘めの声が答えた。
「だってアスランは暑くないの!?」
暑くない、と言ったら嘘にはなる。
が、自分は鍛えられた一応精鋭の軍人である。
これくらい、どうとでもなる。
しかし、キラが騒ぐ理由もわからなくはなかった。
「はぁ、しかたがない」
そう言って持ってきたアイスに、案の定過大な反応を示してくれた。
勢いよく食べ始めたのはよかったが、思いの外アイスが溶けるのが早かった。
頑張って食べてはいるが、それでも溶ける勢いには追い付かない。
埒があかない。
そう思い始めたころ、名前を呼ばれる声がした。
その声に反応して身体を向けると、ぺろりと指を舐められた。
「〜っ!?」
驚いているこっちなんて気付かないように。
「ほらアイス、また零れてるよ?」
そんな顔して、そんなこと言って、何気ないって風にして。
夏の太陽は、なにもかもを溶かしてしまう。
なにもかもが反則だと思った。
<END>
2007.02.16 作成
2007.05.02 掲載
「夏色課題//アイス、ぽたり」